2022年になって新しくなった「退職所得の受給に関する申告書」は、どういった影響で改正されたのでしょうか?
出演: … M社 経理部
… 顧問税理士
― M社 ―
M社経理部まいと顧問税理士が、打ち合わせをしています。
この春に退職される方へ退職金を支払うことになったので、例の申告書を提出してもらおうと思うのですが。
たしか、今年(2022年)から様式が改正されたのですよね?
ご理解のとおりです。
春といいますと、具体的に何月でしょうか?
5月を予定しています。
そうでしたか。
それですと、2022年4月以降に利用する「退職所得の受給に関する申告書」を用いて作成いただくことになりますね。
4月以降ということは、3月以前は別にあるということですか?
はい。
この申告書は2022年になって、2回改正されています。
1月と4月です。
ですから現状、2022年は1月から3月までと、4月以降の2種類があるのです。
何が違うのでしょうか?
まず1月は、勤続年数が5年以下の従業員の退職金に対する課税の改正が2022年1月から施行されましたので、この影響による改正となっています。
また4月は、2020年の確定拠出年金法の改正の影響による施行が2022年4月にありまして、この影響による改正となっています。
勤続年数5年以下って、たしか300万円がボーダーラインのやつですね。
ご理解のとおりです。
従業員の立場で支給を受ける退職金から退職所得控除額を差し引いた残高が300万円を超える場合には、その300万円を超える部分については2分の1課税にならずに全額が課税対象となってしまう改正ですね。
5年以下で300万円の退職金って、すごいですね。
まあ、そういう支払のしかたをされる会社もある、ということですね。
もう1つの確定拠出年金法の改正、って何ですか?
確定拠出年金における老齢給付金の受給開始時期が5年延長されて、75歳までとなったのです。その影響ですね。
“老齢給付金”と聞くと、“年金”というイメージがありますけど…。
確定拠出年金における老齢給付金の受け取りに関しては、一時金か年金か、いずれか選択できます。
一時金として受け取る場合は退職所得として課税されますし、年金として受け取る場合は雑所得として課税されます。
今回の申告書の改正は退職所得の計算に影響する部分ですから、一時金として受け取る場合が該当しますね。
受け取り方の違いで所得の種類も変わるんですね。
そうですね。
まあ、私は確定拠出年金をやっていませんので関係ありませんが、色々とあるんですね。
そうですね。
老後に備えた資産形成の方法は色々ありますが、そこに税がどのように絡むのかもあわせて考えるとよろしいかと思いますよ。
うわー、面倒〜。
(苦笑)
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