[相談]
私(給与所得者)には高齢の両親(ともに75歳以上)がおります。
両親と私は同居してはいませんが、両親の収入は、それぞれ年間80万円程度の老齢年金だけのため、私はその生活費として毎月一定額を両親に送金しています。
このような場合、別居している両親は私の所得税法上の扶養親族(控除対象扶養親族)となり、私は自分の所得から一定額の所得控除(扶養控除)を受けられるという理解でよいのでしょうか。
[回答]
ご相談の場合、ご相談者のご両親は所得税法上の老人扶養親族に該当し、ご相談者は扶養控除として計96万円の所得控除を受けられるものと考えられます。
[解説]
1.所得税法上の扶養親族の定義
所得税法上の「扶養親族」とは、原則として、納税者の親族でその納税者と生計を一にする人(※)のうち、合計所得金額が48万円以下である人をいいます。
※「生計を一にする」とは、必ずしも納税者と同居していることは必要なく、例えば、別居している親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、これらの親族は生計を一にしているものとして取り扱われます。
2.所得税法上の控除対象扶養親族と老人扶養親族の定義
所得税法上の控除対象扶養親族とは、上記1.の扶養親族のうち、年齢16歳以上の居住者や、一定の非居住者をいうものと定められています。
また、上記の控除対象扶養親族のうち、年齢70歳以上の人を「老人扶養親族」といいます。
3.老人扶養親族の扶養控除の金額
所得税法上、納税者が上記2.の控除対象扶養親族を有する場合には、その納税者のその年分の所得金額から、控除対象扶養親族1人につき38万円を控除すると定められています。
また、その控除対象扶養親族が老人扶養親族である場合には、上記の控除金額は48万円となります。
今回のご相談の場合、ご相談者とご両親は生計を一にし、また、ご両親の合計所得金額は48万円以下であると考えらえることから、ご両親はご相談者の老人扶養親族に該当します。したがって、ご相談者は扶養控除として、計96万円の所得控除を受けられるものと考えられます。
[参考]
所法2、84、所基通2-47など
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